こんこん 小山 の。 小山の子うさぎ 子守唄の歌詞まとめ

小山の子うさぎ 子守唄の歌詞まとめ

こんこん 小山 の

何もかも遠い昔の出来事に思えるし、何もかも瞬き一つしただけの合間にも思える。 全て終わったというのに、未だにどこかふわふわとした気持ちが抜けきらない。 その度に、隣で眠る彼女を見て、俺は溜息をつくのだ。 * * * * いつものように居間で繕いものをしていると、庭先で遊んでいた娘が泥だらけのままで戻ってきて、ばたりと小上がりに倒れ込む。 せめて顔についた泥でも拭おうと布を持ってくると、娘はこてんと首をかしげて、結っていなかった私の長い髪にそっと触れた。 私の髪は毛先だけが夕日の様な赤色に染まっており、根本へ行くにつれて黒くなっている。 何度髪を切りそろえてもいつの間にか自然とこうなっているから、これはもう「呪い」のようなものだと思って諦めて、普段は目立たぬようにまとめて結っている。 恐らくこうなったのも、かつて鬼舞辻無惨に殺されかかった際、血を浴びて鬼になった時の名残なのだろう。 鬼から人へ戻れたというのに、今もなお、この身にはその爪痕が刻まれている。 「…そうねぇ。 もしかしたら、私のお母さんが赤い実を食べたから、それで赤くなってしまったのかもね」 そう答えたのは、母から子供の頃に聞いた子守唄を思い出したからだ。 こんこん小山の子うさぎは なぁぜにお耳が長うござる 小さい時に母さまが 長い木の葉を食べたゆえ そーれでお耳が長うござる こんこん小山の子うさぎは なぁぜにお目目が赤うござる 小さい時に母さまが 赤い木の実を食べたゆえ そーれでお目目が赤うござる 私は母に「お兄ちゃんのお目目が赤いのは、おなかの中に居た時にお母さんが赤い木の実を食べたから?」と疑問をぶつけた事がある。 兄弟の中で唯一、兄だけが赤みがかった髪と目を持っており、髪も目も真っ黒な私は全く兄には似ていなかった。 それがなんだかとても悲しくて、悔しくて、赤い実を手当たり次第に食べてみた事さえある。 「ただいま」 背後から掛けられた声に振り向くと、そこには兄であり私の夫である炭治郎が居た。 おかえりなさい、と言うと、炭治朗の足元からひょっこりと男の子が顔を出す。 彼は私たちの息子で、今年で十になる。 町へ炭を売る炭治朗についていきたい、といつも言っていては私が却下していたのだが、今年はもうついていっても大丈夫だろうと許したのだ。 初めての町が余程楽しかったらしく、息子は「お母さん、あのねあのね!」と私にまとわりつく。 その初々しい報告を聞く傍ら、背負い籠を下す炭治郎にも声をかけた。 「炭は売れた?」 「うん。 沢山売れたから、お土産にお菓子も買ってきたよ」 そう言って懐から透き通る硝子細工のような飴を取り出す。 わあいとはしゃぐ娘に、私は「全く甘いんだから」とこぼした。 私の兄はいつだってこうだ。 私が鬼になる前の時から、ずっとずっと優しかった。 だからこそ、甘え過ぎてはいけないと常に自戒しているのだが、そんな私を見透かすように兄はそれ以上に甘やかしてくる。 だが、仕方のない人だ、と思いながらも強くは言えない私も私である。 「ねぇねぇお父さん。 お母さんの髪が赤いのは、お母さんのお母さんが赤い実を食べたからなの?」 飴を片手に握りしめながら、娘が先程私に投げた疑問を、今度は炭治郎へと向けてきた。 すると彼は少し微笑んだ後、 「…お父さんの髪も赤いだろう? これはね、二人は夫婦だよって証なんだよ」 「ふぅん…そっか!」 分かったような、分からないような口調で、しかし娘は満足したのか息子の手を引いて家の外に出て行った。 家に残された私は、未だ戸口に立っている兄をじっと睨みつける。 「もお…お兄ちゃんたらそんな嘘教えていいの?」 「『炭治郎』、だろう?」 「あー……た、炭治郎……さん」 ついつい、昔の癖で「お兄ちゃん」と呼んでしまうのだが、その度に彼から訂正される。 だが、名前を呼び捨てにするのはどうにもくすぐったくて、気恥ずかしい。 照れ隠しで「さん」付けをすると、炭治朗はくすくすと笑い声をあげて、私の髪をひと束救い上げた。 「禰󠄀豆子はこの髪色が嫌い?」 「嫌いじゃないけど、どうにも慣れないわね。 なんだかいつまで経っても人間に戻れてないみたいで…」 「俺は好きだよ」 私の髪にそっと唇を寄せて、炭治朗は低く囁く。 「俺とお揃いだから。 此方へ向かせた兄は、どこか痛そうで、辛そうで、何故だかとても悲しそうな顔をしていた。 「なぁに。 目が覚めたら、禰󠄀豆子が死んでるんじゃないか、どこかへ行ってしまうんじゃないかって。 彼の唇に自分の唇を重ねあわせ、ぎゅっと抱きしめる。 私よりも大きくて、暖かくて、筋肉もついている、もうすっかり大人の身体だ。 だというのに、何時まで経っても子供の様な所が抜けきらない。 時々、私の方が姉なのではないだろうかと思ってしまう事もある。 それほど、あの出来事は彼に深い傷跡を残しているのだろう。 「離れ離れにはならないわよ。 いつだって兄は私の傍に居てくれた。 だったら、私だってずっと兄の傍に居るのが当たり前だろう。 そんな事を考えていたら、今度は、炭治郎の方から私に接吻をしてきた。 子供達に見られたら何て言おう。 言い訳を捻り出す余裕すら与えてくれず、兄は私の口腔へ舌を入れてくる。 「ん」と声が漏れるのも気にせず、さらに深く口付けてきた。 全く、こういう時だけは優しくないんだから。 * * * * 夜、すっかり寝息を立てている子供たちと寄り添いながら布団に潜る。 炭治朗は手紙を書くからと書き物机に向かっていた。 「ねぇ」、とその背中に向かって呟くと、優しい兄は首だけ捻って「どうした?」と尋ねてくる。 「子守唄うたって」 「えぇ…?」 「いいから。 うたって?」 「しょうがないな……」 子供の様に甘えれば、炭治郎は小さく笑う。 本当に彼は子供に甘く、私にも甘い。 彼が歌うのはいつだって同じ子守唄で、私が歌えるのも同じ子守唄しかない。 だけどもそれでいい。 それが良いのだ。

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小山の子うさぎ 子守唄の歌詞まとめ

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何もかも遠い昔の出来事に思えるし、何もかも瞬き一つしただけの合間にも思える。 全て終わったというのに、未だにどこかふわふわとした気持ちが抜けきらない。 その度に、隣で眠る彼女を見て、俺は溜息をつくのだ。 * * * * いつものように居間で繕いものをしていると、庭先で遊んでいた娘が泥だらけのままで戻ってきて、ばたりと小上がりに倒れ込む。 せめて顔についた泥でも拭おうと布を持ってくると、娘はこてんと首をかしげて、結っていなかった私の長い髪にそっと触れた。 私の髪は毛先だけが夕日の様な赤色に染まっており、根本へ行くにつれて黒くなっている。 何度髪を切りそろえてもいつの間にか自然とこうなっているから、これはもう「呪い」のようなものだと思って諦めて、普段は目立たぬようにまとめて結っている。 恐らくこうなったのも、かつて鬼舞辻無惨に殺されかかった際、血を浴びて鬼になった時の名残なのだろう。 鬼から人へ戻れたというのに、今もなお、この身にはその爪痕が刻まれている。 「…そうねぇ。 もしかしたら、私のお母さんが赤い実を食べたから、それで赤くなってしまったのかもね」 そう答えたのは、母から子供の頃に聞いた子守唄を思い出したからだ。 こんこん小山の子うさぎは なぁぜにお耳が長うござる 小さい時に母さまが 長い木の葉を食べたゆえ そーれでお耳が長うござる こんこん小山の子うさぎは なぁぜにお目目が赤うござる 小さい時に母さまが 赤い木の実を食べたゆえ そーれでお目目が赤うござる 私は母に「お兄ちゃんのお目目が赤いのは、おなかの中に居た時にお母さんが赤い木の実を食べたから?」と疑問をぶつけた事がある。 兄弟の中で唯一、兄だけが赤みがかった髪と目を持っており、髪も目も真っ黒な私は全く兄には似ていなかった。 それがなんだかとても悲しくて、悔しくて、赤い実を手当たり次第に食べてみた事さえある。 「ただいま」 背後から掛けられた声に振り向くと、そこには兄であり私の夫である炭治郎が居た。 おかえりなさい、と言うと、炭治朗の足元からひょっこりと男の子が顔を出す。 彼は私たちの息子で、今年で十になる。 町へ炭を売る炭治朗についていきたい、といつも言っていては私が却下していたのだが、今年はもうついていっても大丈夫だろうと許したのだ。 初めての町が余程楽しかったらしく、息子は「お母さん、あのねあのね!」と私にまとわりつく。 その初々しい報告を聞く傍ら、背負い籠を下す炭治郎にも声をかけた。 「炭は売れた?」 「うん。 沢山売れたから、お土産にお菓子も買ってきたよ」 そう言って懐から透き通る硝子細工のような飴を取り出す。 わあいとはしゃぐ娘に、私は「全く甘いんだから」とこぼした。 私の兄はいつだってこうだ。 私が鬼になる前の時から、ずっとずっと優しかった。 だからこそ、甘え過ぎてはいけないと常に自戒しているのだが、そんな私を見透かすように兄はそれ以上に甘やかしてくる。 だが、仕方のない人だ、と思いながらも強くは言えない私も私である。 「ねぇねぇお父さん。 お母さんの髪が赤いのは、お母さんのお母さんが赤い実を食べたからなの?」 飴を片手に握りしめながら、娘が先程私に投げた疑問を、今度は炭治郎へと向けてきた。 すると彼は少し微笑んだ後、 「…お父さんの髪も赤いだろう? これはね、二人は夫婦だよって証なんだよ」 「ふぅん…そっか!」 分かったような、分からないような口調で、しかし娘は満足したのか息子の手を引いて家の外に出て行った。 家に残された私は、未だ戸口に立っている兄をじっと睨みつける。 「もお…お兄ちゃんたらそんな嘘教えていいの?」 「『炭治郎』、だろう?」 「あー……た、炭治郎……さん」 ついつい、昔の癖で「お兄ちゃん」と呼んでしまうのだが、その度に彼から訂正される。 だが、名前を呼び捨てにするのはどうにもくすぐったくて、気恥ずかしい。 照れ隠しで「さん」付けをすると、炭治朗はくすくすと笑い声をあげて、私の髪をひと束救い上げた。 「禰󠄀豆子はこの髪色が嫌い?」 「嫌いじゃないけど、どうにも慣れないわね。 なんだかいつまで経っても人間に戻れてないみたいで…」 「俺は好きだよ」 私の髪にそっと唇を寄せて、炭治朗は低く囁く。 「俺とお揃いだから。 此方へ向かせた兄は、どこか痛そうで、辛そうで、何故だかとても悲しそうな顔をしていた。 「なぁに。 目が覚めたら、禰󠄀豆子が死んでるんじゃないか、どこかへ行ってしまうんじゃないかって。 彼の唇に自分の唇を重ねあわせ、ぎゅっと抱きしめる。 私よりも大きくて、暖かくて、筋肉もついている、もうすっかり大人の身体だ。 だというのに、何時まで経っても子供の様な所が抜けきらない。 時々、私の方が姉なのではないだろうかと思ってしまう事もある。 それほど、あの出来事は彼に深い傷跡を残しているのだろう。 「離れ離れにはならないわよ。 いつだって兄は私の傍に居てくれた。 だったら、私だってずっと兄の傍に居るのが当たり前だろう。 そんな事を考えていたら、今度は、炭治郎の方から私に接吻をしてきた。 子供達に見られたら何て言おう。 言い訳を捻り出す余裕すら与えてくれず、兄は私の口腔へ舌を入れてくる。 「ん」と声が漏れるのも気にせず、さらに深く口付けてきた。 全く、こういう時だけは優しくないんだから。 * * * * 夜、すっかり寝息を立てている子供たちと寄り添いながら布団に潜る。 炭治朗は手紙を書くからと書き物机に向かっていた。 「ねぇ」、とその背中に向かって呟くと、優しい兄は首だけ捻って「どうした?」と尋ねてくる。 「子守唄うたって」 「えぇ…?」 「いいから。 うたって?」 「しょうがないな……」 子供の様に甘えれば、炭治郎は小さく笑う。 本当に彼は子供に甘く、私にも甘い。 彼が歌うのはいつだって同じ子守唄で、私が歌えるのも同じ子守唄しかない。 だけどもそれでいい。 それが良いのだ。

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何もかも遠い昔の出来事に思えるし、何もかも瞬き一つしただけの合間にも思える。 全て終わったというのに、未だにどこかふわふわとした気持ちが抜けきらない。 その度に、隣で眠る彼女を見て、俺は溜息をつくのだ。 * * * * いつものように居間で繕いものをしていると、庭先で遊んでいた娘が泥だらけのままで戻ってきて、ばたりと小上がりに倒れ込む。 せめて顔についた泥でも拭おうと布を持ってくると、娘はこてんと首をかしげて、結っていなかった私の長い髪にそっと触れた。 私の髪は毛先だけが夕日の様な赤色に染まっており、根本へ行くにつれて黒くなっている。 何度髪を切りそろえてもいつの間にか自然とこうなっているから、これはもう「呪い」のようなものだと思って諦めて、普段は目立たぬようにまとめて結っている。 恐らくこうなったのも、かつて鬼舞辻無惨に殺されかかった際、血を浴びて鬼になった時の名残なのだろう。 鬼から人へ戻れたというのに、今もなお、この身にはその爪痕が刻まれている。 「…そうねぇ。 もしかしたら、私のお母さんが赤い実を食べたから、それで赤くなってしまったのかもね」 そう答えたのは、母から子供の頃に聞いた子守唄を思い出したからだ。 こんこん小山の子うさぎは なぁぜにお耳が長うござる 小さい時に母さまが 長い木の葉を食べたゆえ そーれでお耳が長うござる こんこん小山の子うさぎは なぁぜにお目目が赤うござる 小さい時に母さまが 赤い木の実を食べたゆえ そーれでお目目が赤うござる 私は母に「お兄ちゃんのお目目が赤いのは、おなかの中に居た時にお母さんが赤い木の実を食べたから?」と疑問をぶつけた事がある。 兄弟の中で唯一、兄だけが赤みがかった髪と目を持っており、髪も目も真っ黒な私は全く兄には似ていなかった。 それがなんだかとても悲しくて、悔しくて、赤い実を手当たり次第に食べてみた事さえある。 「ただいま」 背後から掛けられた声に振り向くと、そこには兄であり私の夫である炭治郎が居た。 おかえりなさい、と言うと、炭治朗の足元からひょっこりと男の子が顔を出す。 彼は私たちの息子で、今年で十になる。 町へ炭を売る炭治朗についていきたい、といつも言っていては私が却下していたのだが、今年はもうついていっても大丈夫だろうと許したのだ。 初めての町が余程楽しかったらしく、息子は「お母さん、あのねあのね!」と私にまとわりつく。 その初々しい報告を聞く傍ら、背負い籠を下す炭治郎にも声をかけた。 「炭は売れた?」 「うん。 沢山売れたから、お土産にお菓子も買ってきたよ」 そう言って懐から透き通る硝子細工のような飴を取り出す。 わあいとはしゃぐ娘に、私は「全く甘いんだから」とこぼした。 私の兄はいつだってこうだ。 私が鬼になる前の時から、ずっとずっと優しかった。 だからこそ、甘え過ぎてはいけないと常に自戒しているのだが、そんな私を見透かすように兄はそれ以上に甘やかしてくる。 だが、仕方のない人だ、と思いながらも強くは言えない私も私である。 「ねぇねぇお父さん。 お母さんの髪が赤いのは、お母さんのお母さんが赤い実を食べたからなの?」 飴を片手に握りしめながら、娘が先程私に投げた疑問を、今度は炭治郎へと向けてきた。 すると彼は少し微笑んだ後、 「…お父さんの髪も赤いだろう? これはね、二人は夫婦だよって証なんだよ」 「ふぅん…そっか!」 分かったような、分からないような口調で、しかし娘は満足したのか息子の手を引いて家の外に出て行った。 家に残された私は、未だ戸口に立っている兄をじっと睨みつける。 「もお…お兄ちゃんたらそんな嘘教えていいの?」 「『炭治郎』、だろう?」 「あー……た、炭治郎……さん」 ついつい、昔の癖で「お兄ちゃん」と呼んでしまうのだが、その度に彼から訂正される。 だが、名前を呼び捨てにするのはどうにもくすぐったくて、気恥ずかしい。 照れ隠しで「さん」付けをすると、炭治朗はくすくすと笑い声をあげて、私の髪をひと束救い上げた。 「禰󠄀豆子はこの髪色が嫌い?」 「嫌いじゃないけど、どうにも慣れないわね。 なんだかいつまで経っても人間に戻れてないみたいで…」 「俺は好きだよ」 私の髪にそっと唇を寄せて、炭治朗は低く囁く。 「俺とお揃いだから。 此方へ向かせた兄は、どこか痛そうで、辛そうで、何故だかとても悲しそうな顔をしていた。 「なぁに。 目が覚めたら、禰󠄀豆子が死んでるんじゃないか、どこかへ行ってしまうんじゃないかって。 彼の唇に自分の唇を重ねあわせ、ぎゅっと抱きしめる。 私よりも大きくて、暖かくて、筋肉もついている、もうすっかり大人の身体だ。 だというのに、何時まで経っても子供の様な所が抜けきらない。 時々、私の方が姉なのではないだろうかと思ってしまう事もある。 それほど、あの出来事は彼に深い傷跡を残しているのだろう。 「離れ離れにはならないわよ。 いつだって兄は私の傍に居てくれた。 だったら、私だってずっと兄の傍に居るのが当たり前だろう。 そんな事を考えていたら、今度は、炭治郎の方から私に接吻をしてきた。 子供達に見られたら何て言おう。 言い訳を捻り出す余裕すら与えてくれず、兄は私の口腔へ舌を入れてくる。 「ん」と声が漏れるのも気にせず、さらに深く口付けてきた。 全く、こういう時だけは優しくないんだから。 * * * * 夜、すっかり寝息を立てている子供たちと寄り添いながら布団に潜る。 炭治朗は手紙を書くからと書き物机に向かっていた。 「ねぇ」、とその背中に向かって呟くと、優しい兄は首だけ捻って「どうした?」と尋ねてくる。 「子守唄うたって」 「えぇ…?」 「いいから。 うたって?」 「しょうがないな……」 子供の様に甘えれば、炭治郎は小さく笑う。 本当に彼は子供に甘く、私にも甘い。 彼が歌うのはいつだって同じ子守唄で、私が歌えるのも同じ子守唄しかない。 だけどもそれでいい。 それが良いのだ。

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